イクメンデータアナリストのブログ

コンサルのこと/Pythonのこと/Tableauのこと などを備忘録的に書いていこうと思います。

【書籍紹介】ITナビゲーター<ITは今どうなってる?ITで今後どうなる?>

こんにちは ぶどうです! 今回は最近読んで「勉強になった。これはオススメしたい。」と思った書籍の紹介をしたいと思います。


ITナビゲーター2019年版

はじめに

この書籍の良い点は主に下記かと思います。

1. 個人が作成したものでなく、日本のトップシンクタンクがチームで書いている点

2. 各分野に明るい、かつ現場で担当されている方が部分担当をされている点

3. 各テーマに関して、[現状 + 未来予想]という点で書かれている点

上記の特徴を通して、今のITの大きなところの動きがどんな状況なのかがざっくり分かる。 というところが大きいと思います。

概要だけ飛ばし読みなら1時間もあれば読める分量ですし、詳しくない方にこそ読んで自分自身の将来の方向性などを考えるところにも良いと思います。

<序章> 5Gが加速するデジタルトランスフォーメーション

この中では、序章として広い意味での企業の動き・変革に関しての一般論を述べている。 著者はこの中で『創造的破壊が企業に「再定義」を迫る』という小見出しの中で、

デジタルディスラプター(創造的破壊者、以下DD)と呼ばれるスタートアップ企業が、国境を越え、想像を超えるスピード感を持って既存市場に参入し、既存企業を脅かす存在になっている...スタートアップ企業に必要なものは、クールなアイデアと、誰にも負けない情熱だけ、ということになる。その意味ではスタートアップ企業にかぎらず、どのような企業でもDDになれる可能性があるはずだが、一般的に大企業ほどスピード感と情熱に欠ける。一方で、これらのDDたちに脅かされた業界や企業は、強烈な危機感を持って、自らのDX(デジタルトランスフォーメーション)に着手することになる。その典型例を以下に3つ挙げる...銀行業界...ホテル業界...自動車業界...

と続いている。

これは、最後に上がっている業界に属していなかったとしても恐らく今どこかの企業に属している方であれば、必ずぶつかっている課題・危機感ではないかと思う。

<1章> 2024年に向けてICT・メディア市場で何が起こるのか

ここでは、主に

  • eスポーツ:超成長領域と予想されている。色々な業種が組んで開発が進んでいる。
  • 宇宙ビジネス:「火星に住むために」とかをイメージしがちだが、衛星開発が進み全世界の人たちがネットにアクセスできるようにするインフラとしての役割としても今後大きな役割担う。
  • 中国深圳の衆創空間:世界の優秀な人材が集まり、スピード感を持ってものごとの実現が進む。そのスピードは「シリコンバレーが1か月かかることを、深圳なら1週間で出来る」言われるほど。
  • HR Tech:人事・人材の領域も現在ITがどんどん入り込んでいるが、それは今後さらに加速する。
  • データガバナンス:個人情報をいかにして守りながら、企業間で有っても保有しているデータを共有(売買)出来る安全な仕組みを考えていくことが、国際競争力を作るためにも必須。

各分野に関して、現状と近未来に関しての動きが具体的に書かれており、自身が所属する分野がある場合は必読といえる。

<2章> デジタル市場

  • 携帯端末スマホの世界での販売台数は飽和。中小の法人契約がまだ割合としては少ないか。
  • 4Kテレビ:ネットと繋がるテレビが今後は当たり前に。
  • VR:2018年盛り上がったVTuber。顔出しのないyoutubeが実現(しかも人がやるよりももっと高性能に)したら、マーケットとしては更に広がる可能性。
  • スマートスピーカー:今後確実に広がっていく分野であると考えられている。
  • ロボット市場:2024年には(本書の中で意義されている"非産業用ロボット市場"の)市場規模が現在の2倍になっていると考えられている。本書の中では「物流・搬送用ロボット」「医療・介護用ロボット」「オフィス・店舗用ロボット」「家庭用ロボット」の分類で見ているが、一番伸びが強いと予測されているのは「医療・介護用ロボット」となっている。(216億円→760億円)今後も引き続き、「大企業×ベンチャー」による開発が加速していくことは疑いないところであろうと考えられている。
  • 産業用ドローン市場:本書の中ではドローン市場は2024年に現在の4倍弱の規模になっていると予想されている。ドローンの中で分類されている中では、今後「点検・検査」「空撮・監視」「測量」「輸送」の分野が一気に伸びていくと予測されている。
  • 3Dプリンター:今後は、販売価格の低下による普及の加速も相まって市場も2倍ほどになると予測されている。

<3章> ネットワーク市場

回線契約周りの規制の変化に対してどんな施策を投じるか。というところで楽天などの新規勢力が「SoftBank, au, NTTドコモ」の協調的寡占に対して戦っていくのかが注目されている。 格安スマホの契約回線数は、引き続き伸びると予測されているが、2022年あたりでピークが見え始めるともされている。

<4章> コンテンツ配信市場

  • ゲーム市場Nintendo Switchがハード市場に数年ぶりの規模拡大をもたらしたが、一つのプラットフォームだけでは、持続的な市場拡大を望むことは難しい。スマホと家庭用ゲームのプラットフォームの連携を通じて市場拡大を目指いしているソニーの新会社があるように、連携や融合を図っていくことが、各市場の維持・拡大につながっていくと考えられている。また、「荒野女子」という流行語が生まれたような「荒野行動」といった新ジャンルの興りが今後のゲーム販売戦略で重要になってくると考えられている。
  • 動画配信市場Amazonプライム・ビデオなどに代表されるように、「年会費は3900円で見放題」といった形のサービスが今後もしばらく国内外通じて出入りすることと予想されている。東京オリンピックに合わせてNHKもインターネットでのサービスも出してくることも見込まれている。価格の低下も起こると予想されるため、市場自体の伸び幅はそこまで大きくはないと予測されている。
  • アイドル市場:アイドル市場が「応援・支援」の消費ビジネスであることを踏まえると、この形態がますます多岐にわたり、拡大してきていることから、2024年には4600億円規模のサービスになっている(現在は3950億円ほど)と予測されている。

<5章> プラットフォーム市場

  • クラウドサービス、データセンター:ここは今後も加速が続く分野と予測されている。現在の市場規模、8460億円の規模から2兆4300億円の規模になるとされている。本書にもあるが、2017年に大手都市銀行が自行の業務システムを、順次パブリック・クラウドに移行させる方針を示したことで大きな衝撃を与えたように、まだまだ日本での浸透という意味では進んでおらず今後の拡大は確実。
  • 情報セキュリティ市場:4400億円規模の市場から5900億円規模になると予測され、セキュリティへの対策が今後も拡大していくのはこれもまた確実と目されている。しかし、セキュリティベンダーは現状は好調を維持できているが、「IoTセキュリティ分野におけるビジネス拡大の速度が計画を下回るスピードにとどまっている」というところを懸念材料としてもっているという。ビジネス領域の性質上、インシデントがあってから騒がれ資本が投下されるという形にどうしてもなりやすいため、新市場の本格的な成長・拡大、活性化が待たれるところだ。
  • シェアリングエコノミー市場:シェアリングエコノミーは大きく、「モノ」「スペース」「ヒト(労働力)」という分野があり、現在の3228億円の市場規模から2023年には1兆円を超えてくると予測されている超成長領域である。一番規模が大きいのは「モノ」中でも「乗り物」であり、今後市場の成長に大きく寄与するのは、特定のスキルや空き時間の利活用を目的に「ヒト」をシェアしていくサービスであるとされる。私も進めているところでもあるが、『サラリーマンの副業』などはまさに今後必要とされていく分野であることがこれまた明白であると予想出来る。

<6章> xTech市場

ここで言われているxTechとは〇〇Techのことであり、いわゆるFinTechや、RetailTechなどが含まれている。

  • FinTech市場は本書ではいくつかの領域に分解して触れられている。
    • ロボアドバイザイリー:(AIなどを活用し、資料者の投資性向に沿ったポートフォリオを自動で作成し運用してくれるといったサービス)に一定の管理を任せておき、投資へのハードルを下げることによって投資を促すサービス。2017年の970億円程度であるが、2024年には1兆7000億円に拡大すると予測されている。
    • IoT保険市場:2017年23億円程度であるが、2024年には2400億円に拡大していくと予測されている。
  • AutoServiceTech:現状ではいわゆる「白タク規制」によって大きな制限のあるところではあるが、仮にこの規制が2019年に撤廃されているものとして推計されている。(撤廃されなければ市場規模はゼロ。ただ、Uberのサービス試用化は都市部で始まっている。)それによると、今後進んでいくのは、「法人型カーシェア市場」「タクシー型ライドシェア市場」の伸びであるとしている。車を所持せずに必要な時にシェアを受ける・する。というところの最適化が今後も加速していくものと考えられる。 この章ではほかにも、「RetailTech」「AdTech」「EdTech」「HealthTech」「SporTech」「AgriTech」に関しても非常に分かりやすく動向がまとめられている。

今回は紙面の関係上(うそです)ここでは書かないが、該当産業の近いところにいらっしゃる方は、一読しておかれることをオススメします。

おわりに

NRIの方々がまとめてくださっている「ITナビゲータ」を紹介させて頂きました。 この本の特徴は、

1. 個人が作成したものでなく、日本のトップシンクタンクがチームで書いている点

2. 各分野に明るい、かつ現場で担当されている方が部分担当をされている点

3. 各テーマに関して、[現状 + 未来予想]という点で書かれている点

という点であると思います。

結論、『すべての産業でIT化』が進んでおり、その中でもどのあたりを中心に今後ものごとが進んでいきそうか、キーワードは何なのか。 という、すべての人に関わる問題としてとても分かりやすく書かれている良著であると思います。

こちらの書籍の紹介でした。
ITナビゲーター2019年版